IDテスタで心線対照をするとはどういうことなのか

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写真画像はフジクラ製FID-25R、FID-26R

光ファイバIDテスタとは、光ファイバ心線を被覆の上から曲げ部により湾曲させ、湾曲させた光ファイバから漏洩した光を受光素子で検知し、該当心線を対照することができる測定機器です。

一般的な計測器チェッカーとしては、ほとんど知られていないこのツール。あまり詳しく解説されていないと思いますので、ここで述べてまいりたいと思います。

多数あるファイバ回線の内どの心線を切断して接続作業をすれば間違いないかをチェックする

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ファイバケーブル心線は、そのインフラ設計時には、ほとんどの場合、余分に心線数を考慮されており、予めそこの住所の区画で図面上線番が指定されているはずなのですが、人間のすることです。どこかでミスがあるかもしれません。絶対に間違った心線を接続してしまってはいけません。あとで、引き込みのやり直しをさせられるハメになってしまいます。

そこで念のため、チェックする必要性があります。

何故、対照光源は270Hz変調を使うのか

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NTTにて規定されているから、と言えばそれまでなのですが、ここではもう少しその背景について踏み込んで見ます。

日本での交流電力の周波数50/60Hzに関係するようです。日本中どこの電力環境であっても、影響が出ないであろう、270Hzを使用しているそうです。

これは、いったいどういうことなのか?その周波数の高調波を見ていきますと、

50Hzでは 100、150、200、250、300Hz

60Hzでは 120、180、240、300Hz

と、270Hzでは、まったく邪魔されてしまう事がなく、丁度そのスキマにありますよね。これが原因だそうです。

対照光として、270Hz変調の光を用いると、心線対照光以外の光パワーの誤検出(例えば、通信光の漏洩光等の誤検出)を防止するためです。

電気-光変換されてしまっているのに、そこまで気にする必要はないだろうとは思いますが、念のためと言ったところでしょうか。

1kHz、2kHz変調の光については、国内では一般的に使用されておらず、海外で使われている傾向にあるそうです。

こういう変調光は「CHOP光」(チョップ光)とも言われます。

また、対照光としては、通信光の波長よりも長波長の光を使用するのが効果的。これは、曲げによる伝送損失は、長波長であるほどに大きくなる(対照光の漏洩量が多くなる)ためです。
主に1.55μmが使用されていますが。
本当は1.625μm、1.65μmと言った波長帯を使用すればより効果的なのですが、導入コストが高いのと、損失が大きいため、長距離のファイバ心線伝送路での測定が難しくなるなどの要因があります。

光ファイバの湾曲により、対照光を検知できるようになるものの、通信光の漏洩が増加してしまう。そこで、対照光の検出に寄与しない部分では、曲げ量を緩やかにすることで、通信光の漏洩(通信光に対する(IDテスタの挿入時による)挿入損失)を低減するようにしている。

選定のポイント

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既に特許が切れているのもあり、国内外問わず様々なメーカーの製品が出回っていますが、
スバリ!
電線ケーブルメーカー製のものを使用する。と言うことですね。

開発に伴う環境がバツグンに揃っているのが背景にあります。
今日までに、R30、R15などと言う様なファイバ心線にも膨大な種類があります。ケーブルメーカーである以上、当然ながら社内に、どのような曲げ工夫をすれば心線試験データが非常に充実しているため、検証データがとりやすいので、客先からの利用上の要望でクレームなどがあってもすぐに対処できます。

古河電気工業、フジクラ、住友電気工業の3社が製造元として提供しています。

安いからといって、安易に飛びつくのは控えましょう。