8対のツイストペア LANケーブルに規定された多くの測定項目規格測定までがものすごい高速で終わってしまうので、LANケーブル配線が大量に配線されている大きな会社や施設での敷設工事にこのような測定が必要な場合には早く現場を終わらせて工事件数をこなしていくために必須の計測器ですね。
LANケーブルの疎通確認で済むならば、8対の結線確認と導通確認だけすれば良いのですし提供しているメーカーも様々な選択肢があるのですが、
「LANケーブルの性能試験」まで求められる仕様の工事では高額なLANケーブルアナライザが必要となってきますが、その選択肢が事実上フルーク・ネットワークス社のみになってしまっている現状が問題視されて来ていました。
「LANケーブルの性能試験」とはどのようなことを言うのかと言うと
要するにその敷設したLANケーブルが、きちんと速度が出ることを然るべき計測装置を使って証明してもらう必要があるということです。
保証(測定確度)を第三者機関であるIntertek ETLにより認定されている必要があります。
フルーク・ネットワークスもIntertek ETLにて認定を受けて正確さを保証していますが、もちろん他にも認定を受けたメーカーの試験機はありますがこれは後でお話しします。
LANケーブルは今後、性能試験が必須になって行く傾向にある
モバイル通信の5G、さらにその先の6Gの規格化も進められています。
目の前の5G通信については、ここ近年盛んになっている小中学校のIT化をするGIGAスクール構想で規定されているようにLANケーブルはCat6Aに指定されています。
一般的なLANケーブルであるCat5eではなく、Cat6Aを指定している以上、きちんと速度が出ることを証明してもらう必要があります。
通信ケーブルは物理的に通信速度が上がれば、周辺の電子機器のノイズなどに過敏に影響を受けやすくなってしまいます。
さらにその先の6Gまで見据えるとなると、LANケーブルの布設後の試験方法も自ずとこれからの業界の方向性が見えて来そうなものです。
具体的な測定スピード
業界で標準的に利用されているフルーク・ネットワークス製のLANケーブルアナライザの最新モデルでは
DSX-8000:カテゴリー 5e または 6/クラス D または E のフル双方向自動テスト:7 秒。
カテゴリー 6A/クラス EA のフル双方向自動テスト:8 秒。カテゴリー 8 のフル双方向自動テスト:16 秒
DSX-5000:カテゴリー 5e または 6/クラス D または E のフル双方向自動テスト:9 秒。カテゴリー 6A/クラス EA のフル双方向自動テスト:10 秒
なぜフルーク・ネットワークスでなければならないのか
大きな疑問として感じてしまいますよね。当然ながら誰もが感じる疑問です。
それはズバリ!昔からの実績ですね。
それこそ、ツイストペアのLANケーブルが世の中に出始めたころから取り組んでいたような話を聞いたことがあります。
当初は必要性をあまり理解されることもなく、あまり売れていなかった時期が長かったであろうと思われます。
それを徐々に理解されていきながら、昔からコツコツと実績積み重ねてきたその信頼ですね。
その結果、敷設したLANケーブルの性能試験はフルーク・ネットワークス製しか認められないというネットワーク設計元が増えていったのでしょう。
余談ながら、
元々フルークという会社は計測器メーカーとしては、HPまたはアジレント・テクノロジー(現在はキーサイト・テクノロジー)などと比べると、無名でブランド力もない小さな会社でした。通信工事業界では馴染みはないかもしれませんが、このメーカーは今でも普通に電圧を測定したりする電気計測器メーカーなのです。
通信測定機部門は、今では分社化してフルーク・ネットワークスになっていますがね。
LANケーブル性能試験が可能な試験機は他にも選択肢はないのでしょうか。
ワイヤーエキスパートという全く同等な機種が存在します
ソフティング(softing)社というドイツの」会社が提供しているワイヤーエクスパート(WireXpert)という機種があります。
この記事冒頭で申し上げていたもう一つの選択肢となるメーカー品です。
こちらもフルーク・ネットワークスと同じく、Intertek ETLにて認定を受けて正確さを保証しています。この機種を使用してみた感想などはこちらの記事が詳しいです。
この機種はその昔販売されていたワイヤースコープとフレームスコープの後継機種のようです。
実はアジレントテクノロジー(現在のキーサイト・テクノロジー)が販売していた機種でした。注.アジレントテクノロジーが買収したスコーププロという会社が元々の開発販売元です。
しかしながら、売却されてしまうという事はさほど売れてはいなかったということかもしれません・・・
価格は高額なので中古があればありがたいが探すのは困難か
約200万ほどする計測器なので、なかなか手が出ないようです。
レンタルするにしてもなかなか割りが合わない。
極まれに中古が出回りますが、最新モデルではなくDSX-5000がたまに出る時がありますが、メンテナンス期間があまり長く見込めないのであまりお勧めしにくいです。
ただ仕事量があるならば、最新モデルではものすごく高速測定をしてくれるので、現場件数をこなせるのですぐにペイしてしまうので新品を購入される方のほうが多いのですね。
LANケーブルアナライザを検討される方はこちら