その昔、1980年代あたりは、まだまだファイバの品質が安定せず、シングルモードファイバ(SM)でもコアが中心からズレていることが多かったのです。
なので、外径調心ではロスが限度範囲に入らないことが起こってしまいました。
国内の通信網で需要があるのは意外と電鉄系
各電鉄会社には、それぞれ専属の通信工事を行う会社があります(自社内で行うことはほとんど稀です)
結構、関連子会社だったりするのですが、それらの工事会社よりコア直視型融着機の引き合いがあり、対応したことがございました。
電鉄会社の軌道線路もそうですが、信号通信、駅間通信などで使われる通信回線はすべて自前の通信網です。
当然、光ファイバが導入されるずっと以前より運用してきておられます。
その過去に構築されたファイバ網は、大事にされて非常に長い間、有効活用されています。
実用化になった当初、電鉄系の軌道線路に、光ファイバケーブルの導入が進んで行きましたが、今でも当時のまま残っている伝送路があるくらいです。
もちろんテープ心線などではなく、単心線でした。
なので、工事の際には、コア直視型融着機の需要があるのです。
でも頻度は少ないでしょうから、必要な時にレンタルする程度で良さそうな気もします。
そもそもコア直視型融着機って?
↑画像は古河電工 S178A
シングルモード光ファイバ融着接続用で、単心線のみ対応。
上記画像のように、画像処理によって光ファイバコアの位置を検出し、コア軸を自動的に合わせることにより低損失で接続できる。
外径調心では、V溝に乗せて付き合わせしているだけだが、コア直視型ではコアそのものを画像認識して、適切な調心を行うので、ズレがほぼない。
ですが、現在国内のファイバメーカーが生産しているシングルモードファイバは、非常に品質がよく、さほどコアがズレていることはないため通信網構築での接続作業で必要とされることはありません。
では、どんなところで使われているのか?
まずは、超高速光通信伝送装置の生産用
光通信に使われる伝送装置やその中に入る
光部品(コンポーネンツ)などの工場での生産ラインでの設備として用いられています。
大容量の通信が行われる伝送装置の中のファイバの接続が、非常に低損失での接続が求められます。
微細な軸ズレがあっても、通信エラーの頻度が高まる原因となってしまいます。
基幹伝送通信網では、
一昔前だと、40Gbpsとは言われていたのが、
現在は、100Gbpsが当たり前になってしまい、今や400Gbps導入の声まで出ています。
アクセス系の工事では、よほどの昔ながらの品質の悪いファイバでも当らなかった場合は、
ここまでの接続損失はまず求められることはないでしょう。
海外の通信工事向けでもある
あとは、一部海外での通信工事でも使われているようです。
海外のファイバメーカーは、今でも結構品質が悪いことがあります。
なので、シングルモードファイバもコアの中心がズレていることもしばしばあるとか、ないとか・・・
必要性があるようです(販売したことがないのでよくわかりませんが、あくまで聞いた話です)
あと、
上記画像は、イスラエルのエルサレムと言う都市ですが、ここなんかは、年中砂嵐が吹いてますよね?
であるためか、
最新機種は国内3社は皆、堅牢型になっている
今までの機種では、本体の筐体は全く別設計になっていたのですが、
これは、ズバリ従来の外径調心機種の筐体を有効活用したいのが大きいでしょうが、
海外向けのコア直視型でも適用させようと言う動きでしょう。
古河電工 S178A
フジクラ 70S
住友電工 TYPE-71C+
とにかく、融着接続機の世界市場そのものが、この3社で90%ほど占めているわけですから、はっきり言って日本メーカー一人勝ち状態です。
いや~全くスゴイですよね!