パルス試験機(OTDR)でのファイバー伝送路波形測定の際には、
約100~200mくらいのダミーファイバーを間にかませて測定することがありました。
ですが、ここ近年あまりそれをされることがなくなってきています。
いや、する必要性そのものがなくなってきているのです。
一体どういうことなのでしょうか?
それは、OTDRの性能があがったため。
光のLD出力や受光センサや光デバイス・・・ではありません。単純に信号処理する電子回路がグレードアップしてきたのです。昨今の技術進歩により、今まででは高額で出来なかった信号処理が、導入可能なコストで出来てきたのが大きな要因である、と思われます。
ダミーファイバをかませる必要があるのは、局出し近端数十m付近の波形を確認したい場合がほとんどです。
もうほぼそれのみ、と言っても良さそうです。
パルス出力する測定端では、コネクタ接続されています。
ここでは、当然ながら光の反射がありますが、
近端でまぶしすぎて見えない、と言えば分かりやすいでしょうか。
波形として捉えきれない部分があります。
反射デッドゾーン(アッテネーションデッドゾーン)と言われています。
ほらっ、OTDR波形の一番始めにピーン!と立っている波形があるでしょ?
アレですよ。
あのピーン!と立っている
画像はhttp://denki9.exblog.jp/2569452/より拝借
アレは基本的になくすることは出来ません。
昔の機種では、よく頑張っても、
パルス幅は10nmまでしか小さく出来ず、
反射デッドゾーン(アッテネーションデッドゾーン)は、6.0mでした。
ですが、
横河では、AQ7270以降
アンリツでは、MT9082以降
の機種では、パルス幅を3nmと言う微小な幅の設定が可能となっているのです。
無論、パルス幅3nmでは、距離が伸びず、わずか数十mくらいしか波形計測出来ませんが、近端波形を見るには充分な性能になると思います。
反射デッドゾーン(アッテネーションデッドゾーン)は、3.5mとなっていますので、見えないのは3.5m部分だけです。
なので、ダミーファイバを用意する必要性が薄れているのです。
もちろんあればあるに越したことはありません。
それに、請け負った工事内容によっては、メンテナンス契約では、必要とされる可能性もありますよね。
そのダミーファイバー100mか200m地点からその近端ファイバーの波形がキレイに見れるのですからね。
昔は高額だったダミーファイバユニット
写真は古河電工が昔に提供していたモデル
昔は、20万近くもしていました。
まぁ、その当時は幹線系しか光ファイバインフラ工事の需要がありませんでしたし、生産数量のロットが少なかったのもあったのでしょう。
ですが、ここ近年はローコスト製品があちこちの電線メーカー系を中心にリリースされています。
三菱電線工業製 ハンディコイル OPTIFLEXシリーズ
どうしても必要、と言う場合は導入検討されればと思います。
3万円台となかなかリーズナブルです。
通販で購入検討される方はこちらまで
OTDRのオプション対応としても存在した
横河では、AQ7270、AQ7275シリーズにて、ダミーファイバオプション対応で内蔵させることが出来ていましたが、8万と高かったのです。
あまり売れなかったのか、AQ7280では、オプションラインナップから消えました。
先ほどお話しました古河電工が用意していた20万に比べれば安かったのでしょうが、3万円台ならば、本体内蔵で別で管理することになっても、そっちを買うでしょう。
時代は進んでいるのです。