光ファイバ回線サービスが開始されてはや20年が過ぎようとしています。
ファイバインフラ網は、全国の隅々まで行き渡っていますが、まだまだそのインフラ網は足りていないようで予算次第で、随時増強していっている様子ではありますが。
そのような中で既設の光ファイバ心線を運用していくうえで様々な要望が上がっている中で最もボトルネックになっている問題があります。
例えば既設の4心テープファイバの内、隣の引き込みクロージャーで、ドロップ接続されて開通して1番線が現用回線で、目の前の引き込みクロージャーで2,3,4番線が空き回線の現場があったとして、以下の図の状態を参照いただきたいのですが、
この状況のままテープ心線被覆を除去して、さらに2番線にドロップファイバを接続して開通工事をする必要性が出た場合、
・現用回線を止めて、テープ心線を分割して空き回線を切断する
・現用回線を運用したままで、テープ心線を分割して空き回線を切断する
の2択に迫られるかと思います。
その際には、なかなか現用回線をいちいち切断してなどしてられないので、そのまま現場でテープ心線被覆除去を行う中間単心分岐の必要性が発生しています。
具体的にどこの通信サービス事業者にて行われているのかと言いますと、主にNTT系と電力通信系と2社各々のやり方があるようです。
いずれの場合もテープ心線被覆を上下の刃で大工が使うカンナで削るかのように除去します。
NTT系工事会社にての対応
NTT-RECにてレンタルサービスを実施されている
光ファイバテープ心線分離工具
があります。カタログやホームページには記載がなく、NTT系の工事会社にのみ提供される工具となっているようです。
料金体系
レンタルのみの提供となっているようで、
1,580円/日
12,400円/月(1年契約)
9,200円/月(3年契約)
8,200円/月(5年契約)
年間10万円前後支払っていることになり、特に2年目以降は支払っているのが辛くなって来そうな内容であるために、実はこれは購入したほうが費用が抑えられるのでは?と疑問に持つ方が跡を絶たないようです。
実は1年毎に刃部分を新品と入れ替えしているようで、実質10万円前後で購入しているようなものであるとのことでした。
架台はフジクラ
刃部分は古河電工であり、
刃部分をレンタル契約者には、毎年新品と入れ替えしているとのこと。
よくこの刃部分のみを発売してほしいと要望を請けますが、残念ながら販売は不可能となっています。おそらくNTTの技術流出を防ぐとかなのかと思います。
電力系通信事業者にての対応
こちらの工具 素線分離具 S220V
という型式で古河電工より提供されています。
古河電工 素線分離具 S220A
という機種をベースに、被覆除去の際に極力現用心線に影響がないように刃が調整されたタイプの機種です。古河電工としては、障害発生時に保証はしないということになっています。
S220Vとして、リリースされています。
関西電力系の通信事業者 オプテージ「導入当初はK-オプティコム」にて採用されています。他の電力系通信事業者で導入されているかは、定かではありません。
CATV、NHKその他通信事業者での対応
CATV(ケーブルテレビ)NHK(日本放送協会)のような放送局も光ファイバ伝送路を持って通信放送サービスを行って久しいですが、こちらの事業者では引き込みクロージャー内のテープ心線は4心切断した箇所からドロップ接続することしかしないで、中間単心分岐はしない方針のようです。
被覆が薄くなった新しいテープ心線への対応単心分離工具は各種あり
住友電工では、EZbranch イーゼットブランチ
古河電工では、QSテープ 単心分離型テープ心線
フジクラでは、イージースプリット
という新しいテープ心線があり各々対応した単心分離工具があります。
さらに、ここ近年では間欠固定型テープ心線というもっと薄い被覆のテープ心線が出回ってきており、こちらでは歯ブラシでこする程度で心線分離が可能になりまともに工具すらも必要なくなって来ています。(被覆を剥ぐにはホットストリッパは必要になります)